2時間半くらいは眠れただろうか、皆が起床し始めたのでもそもそと畳の上に置いてあったYAMAHAアコーディオンを弾いたりする。母親の用意してくれたサンドイッチのブレックファストはあまりに大量で全員満腹となってしまい、本日の牛タン屋詣は泣く泣く諦めることにする。その代わりに小林君の運転で一路深沼海岸へ。海へのBGMは、Eric Andersen "Blue River" 〜 John Hiatt "Slow Turning" と泣きの名盤攻勢で、一人で勝手にオヤジ旅情を盛り上げる。途中デミ夫は、長町でIGLOO DIARYでお馴染み、澁谷さんの職場「グレートレコード」〜澁谷さん・ナツさんとの待ち合わせ場所「ベローチェ」の前を通りかかり、ヴァーチャルワールドが現前して皆盛り上がる。深沼には30分くらいで着いた。こんなに海って近かったっけかな。砂混じりの駐車場ではサーファーが着替えなどしており、マヘルの「春のサーファー」がよぎる。大量のペンキ画の眼の看板がかけてある松林を抜ける途中で裸足になると、空と砂浜と海がやって来る。森中さんは、「こんな広い海初めて見た」と滅茶苦茶感動。埼玉には海ないからね。水はまだ冷たかったものの、砂をかけあったり、恒例のラビビーチ・ジャンプしたり、オナモミダーツしたり、ズボンを濡らしたりして海を満喫してワンクッション。澁谷家に戻って、今日のライブの練習。澁谷さんベース、ナツさんホルン、小林君トランペット、大内君メロフォン、モモさんクラリネット&フルート、森中さんフルート、僕エレピというアンサンブルで、一曲ずつ確認。だんだんいい感じになっていくが、僕だけ「hor(水)」のリズムがどうしても理解できず、澁谷さんに「学習障害児みたい」と酷いことを言われるが、それも救済策が講じられて何とか一安心。赤帽が来て機材を積み込み、その後を追う。下る坂道のナツさんの格好いい自転車姿に騒いだりしながら、フォーラス横のジャンクボックスへ。黒いハコ。外の受付のところに、あさくらさん、船橋さん、大月さんがいて、ご挨拶。リハまでだいぶ時間があるとのことだったので、小林君・森川さんは代ゼミに森川さんの恩師と会いに、モモさん・大内君・僕は車内で練習したり安い駐車場を物色したり近所のパン屋に行ったりしているうちにリハ時間に。山路さん、中平さん、大野さんのyumbo三姉妹とご挨拶。今回は市民ブラスの人達も加えた総勢16名で、澁谷さんのでかいベースアンプがステージの真ん中にでーんと据え付けられていてそれにもたれかかるようにして大野さんが細々と歌う回りを多数のブラス隊が囲んでいる後ろではマツヤマヘルに倣ったのか山路さんがダンボールを叩いてたりして、見栄え・音共にかなり異様な雰囲気。リハが終了し、楽屋へ。ナツさんが「酒、酒」とか言ってナーバスになっているので(いつからアル中になったのか)、小林君がラブビーチ・ジャンプを撮影した動画などを見せて和ませていたり、大野さんの全部カタカナで書いてあるアイヌ語タガログ語の歌詞カードを見せてもらって笑ったりしているうちにイベントが開始となる。サブステージであさくらさんや大月さん他の出演者が即興演奏をしている間、16 yumboはメインステージ上で待機。僕があられもない顔をしているのを澁谷さんに発見されてしまい、「今日は全部関さんのせいだ」と意味不明のなじられかたをしたりする。本番前にステージ上で澁谷さんと話すのって結構好きなんですけどね。そして遂にyumbo開始。「raikur(死者)」、「nochiyu(星)」、「hor(水)」、「ni(木)」、「oribak(おわり)」というアイヌ語の『2月の雀たちの帰還』組曲。もっと一曲一曲長くやるかと思っていたが、あれあれっという間に終了。しかし、16人という大編成が当日いきなり集結して合奏するという混沌とした状況の中で、聴こえてくるのはやはりメロディーなのだった。「周りのものを取り除いてしまった時、どれだけメロディーが心に残っているだろうか?」とはバカラックの言葉だが、澁谷さんの曲はしっかりとメロディーが心に刻まれるのである。次はyumboメンバーだけで「もみの木」。エレピソロを禊のような気持ちで弾く。ラストの新曲「美しい道」はスカスカの名演だった。大内君と僕で、ブリッジの部分でおもちゃのラッパとかを吹く。yumbo終了。会場外の廊下でさらさらとしたおつかれ時間が過ぎ、戸田君と出くわしたりしながら散会後、デミ夫は怪しい奥の細道に迷い込んだりしながら何とか澁谷家到着。赤帽から機材を運び込んで、モモさんとこれまたIGLOO DIARYでお馴染みのサンマリへ買い出し。今夜のメニューは焼きそばとシューマイに決定。小林君にジャンケンで勝って大内君と僕はビールを飲んでいいことになる。モモさんと森中さんとで作った男のちくわ焼きそば海苔トッピングを堪能。合流した山路さんが中華惣菜を買ってきてくれてこれまた堪能しているうちに、ナツさん、大野さんもやってきて異常に賑やかな感じに。今日のライブでも使っていた山路さんの水音の筒、バーのママが森中さんからナツさんに引き継がれていく様子、ジュースだよ! バッテリー切れで30秒くらいしか撮れなかったという本日のVTRがあまりにシュールで、爆笑しながら何度も観る。「もっと長くやればよかったのに」と澁谷さんに言ったら、「2時間くらいやってもよかったかも。またライブしたいっすね、今すぐ」などと言う。23:00を回って宴もたけなわではございますが、キヌタ組は引き上げることとする。澁谷さんとジュース談義で朝までという誘惑に後ろ髪を引かれながらも、じゃあまたー、と皆でぶんぶん手を振り合ってお別れ。「別れの感じっていいですよね」とか小林君が言って、pinbackをかけ始めてチルアウト。実家着。森中さんが寝床でナツさんからもらった楳図かずおのマンガを読んでいる間、小林君・大内君・モモさんと再び萩の月うなぎパイを肴に黒ラベルでキッチントーク。どういう流れか、各自の性情を鋭く批評するようなディープな話となり、「シリアスに考えたら死しかない派」(大内・僕)と、「そういう暗部は回避すべきだ派」(小林・モモ)に真っ二つに分かれてハイテンションのディベートが展開されて朝まで生テレビ状態となった挙句、「あまりに深い話になりすぎたから今日話したことは全部忘れよう」という軟着陸をしたのであるが、あれは一体何だったのか。雀も鳴いてるよ。チュンチュン。