車検のついでにぷらっと鎌倉の神奈川県立美術館へ。松本竣介の展覧会でトリ公の天本君とバッタリ。ビックリ。2年ぶりくらいかな? おめでたいことがあったとのことで、おめでとうございます。思えば天本君とはマヘルを通じて知り合ったのだった。二人ともマヘルと松本竣介に惹かれているということは偶然かもしれないが、偶然ではないのかもしれない。詩が溢れていることとか、不透明なひんやりした透明感とか、ディティールに近寄れば近寄る程面白さが見えるところとか。こういう不確かな共通項を数え上げていっても仕方がないのかもしれない。ただ、松本竣介の画を目の前にすると、僕の中には無根拠にマヘルという3文字が浮かんできてしまうのである。僕は全国各地で松本竣介の画を観て来たが、その度に夢中になって溜息をつきながらも、結局「マヘル的な通底」を追い求めているだけなのかもしれないという諦念にも似た堂々巡りに囚われてきたものだ。例えば、銀閣寺に行った時も強烈にマヘルを感じた。あの変てこな格好良さ。石の巾着に砂利の円錐台にまむしに注意の看板に蝉の抜け殻なのである。鎌倉の静雨庵のラーメンは¥400で最高の味なのである。後に、マヘルの「鎌倉」という素晴らしくカントリーフレイバー溢れる新曲を聴いてこの一日のことを思い出した。

咲いてしまった花の
咲かなかった花の
上る坂道の
下る階段の
咲いてみたかった花の
咲くべきではなかった花の
上る苦しみの
下るかなしみの
咲いてしまった花の
すべての花の
行きの鎌倉の
帰りの鎌倉の

この日も桜は満開近かった。全ての花が点在し、人生の上りと下りの全ての境目がそこら辺に点在していた。